優しい嘘吐き

外を知らないベッドの中の少女

「教えて。この世界はどんなもので出来てる?」

彼女の恋人は理由も枯れた戦場

不定期にしか届かない手紙が命の証明

 

『拝啓、愛する君よ

素敵な世界に僕らは生きてる』

 

あなたを思う

それが私を支える

冬が近付く

あなたの温度が恋しい

 

まるでおとぎの様な世界の話

眠れなくなってしまうくらい胸が躍る

 

終わりの無い花の絨毯

水平線を照らす満月

出鱈目みたいな朝焼け

移り変わる季節の風景

 

彼は優しい嘘吐き

虚ろな目には灰色に掠れた世界

彼は優しい嘘吐き

『必ず帰るから見に行こう、素敵な世界を。

それまで、元気で。』

 

拝啓、愛するあなた

私は待ってる 手紙は来なくとも

 

あなたを思う

それが私を支える

あなたに触れたい

それだけで良かった

 

あなたを思う

それが私を支える

あなたが教えてくれた

世界を私は生きてく

あなたの温度が恋しい

 

『拝啓、嘘吐きな貴方

素敵な世界を一緒に見たかった。』